編集部で、東カレデートの自己紹介を添削する小さな企画をやりました。机に並んだのは、利用者から預かった書きかけのプロフィールたち。よろしくお願いしますの一行だけのもの、年収と社名がぎっしり詰まったもの、便箋三枚ぶんありそうな大作。
文章を生業にして十年の私が赤ペンを握って気づいたのは、全員、書く力がないのではなく、誰に読まれるかを知らないまま書いているということでした。だから最初に、読者の話からします。
東カレデートの自己紹介は、二度読まれる
一度目の読者は、審査員になった既存会員
東カレデートには入会審査があり、その一次審査を行うのは運営ではなく、既存の異性会員です。あなたのプロフィールが審査画面に並び、入会にふさわしいかを判定される。画面に出るのは写真と年齢、職業、年収といった基本情報で、未入力の項目が多いと非承認になり得ると公式も案内しています。
つまり自己紹介を含むプロフィールは、マッチングの前にまず、入場券の役割を果たすわけです。普通のアプリなら自己紹介は出会いの道具ですが、ここでは門を開ける鍵でもある。短い挨拶だけで挑むのは、面接に履歴書の名前欄だけ書いて行くようなものです。
連絡先の記載と遊びの気配は、その場で退場
一次を抜けても、運営による二次審査が待っています。ここで見られるのは信頼性。SNSのIDや連絡先を自己紹介に書く、真剣な交際を望んでいないと読める文面にする。これだけで不合格になり得ます。
25歳のルナさんは、ノリ重視の可愛い短文で挑んで落ちました。本人は心外だったでしょうが、短く軽い文は業者の手口と見分けがつかない。日常のエピソードと理想の関係性を書き足して再挑戦したら、するりと通過しています。疑われない文章量と体温。それが二次審査への答えです。
編集部添削室。実例ビフォーアフター
ここからは添削の机の上を公開します。名前と年齢は変えてあります。
一行挨拶だけの女性。審査は通っても、いいねが来ない
32歳のサエさんのビフォーは、よろしくお願いします、の十文字でした。写真の力で審査は通ったものの、いいねは数えるほど。赤を入れたのは引き算ではなく足し算です。仕事の中身を二文、旅行好きの具体を二文、結婚観を一文。400字まで育てたら、状況が一変しました。ハイスペックな男性からの連絡が一気に増え、1ヶ月で3人とデートへ。
金融系の男性とは、自己紹介に書いた旅の話が橋になって交際まで進みました。本人いわく、書き足しただけで世界が変わった、と。読み手の立場で考えれば当然で、十文字の相手には、最初のメッセージで書くことがないんです。自己紹介は、相手への話題の差し入れでもあります。
スペックを並べた男性。二度落ちて、書き直して通った
29歳のケンタロウさんは逆のパターン。年収も職業も申し分ないのに、二度審査に落ちました。ビフォーの文面は、勤務先と役職と年収の補足だけが整然と並ぶ、いわば名刺の拡大コピー。東カレで数字が強いのは事実ですが、数字はプロフィールの選択欄がすでに語っています。自己紹介まで数字で埋めると、自慢の匂いだけが残る。赤ペンでばっさり削り、サッカー観戦と自炊の話、休日の過ごし方、それから小さな失敗談をひとつ足しました。三度目で通過。マッチ率も別人のように上がり、家族を大切にしたいという一文に共感した女性と、いまは真剣交際中です。彼の総括が秀逸でした。自己紹介は営業資料だと思っていたが、本当は人柄の試食コーナーだった、と。
書きすぎた人。誠実が重さに変わる境界線
44歳のヨウコさんのビフォーは、過去の経験から学んだことが800字を超える力作でした。誠実です。でも、初対面の相手には重い。読み終える前に、ぽろりと画面を閉じられてしまう。半生の記録は会ってから話せばいいので、明るい趣味を中心に半分以下へ刈り込みました。レストラン巡りの話を残したのが正解で、同年代の男性とその話題で盛り上がり、結婚前提の関係に進んでいます。
27歳のダイキさんも、ネットで拾ったテンプレ文から、自分の言葉の失敗談と成長話に書き換えて反応が変わった一人。長さの正解は、誠実さの量ではなく、相手が一息で読める量です。
通る自己紹介の設計図
添削で渡した型を、そのまま置いていきます。
四つを200から400字
構成は四つ。一つ目に仕事、何をしていて何が面白いかを二、三文。二つ目に趣味、固有名詞を入れて具体的に。三つ目に価値観、家族や時間の使い方への考えを一文か二文。四つ目に理想の関係、真剣に向き合いたい意思を静かに。全体で200から400字に収めます。
34歳のカオリさんは、いいねは来るのに返信率が低い悩みを抱えていましたが、真剣に結婚を考えている、共通の趣味で盛り上がりたいと具体に書き換えた途端、やり取りの質が変わり、起業家の男性と海外旅行デートまで実現しました。文は丁寧に、ただし敬語の鎧で固めすぎない。品の良さとは、整いすぎないことだと添削していて思います。
書いてはいけないもの。自慢、要求、テンプレ
NGも三つだけ覚えてください。一つ、露骨な自慢。学歴年収は選択欄に任せる。二つ、相手への要求の列挙。求める男性像を細かく書くほど、審査でも対面でも印象が曇ります。自己紹介は自己開示の場で、注文書ではありません。三つ、どこかで見た定型文。読み慣れた審査員の目は、借り物の文章を一瞬で見抜きます。ユーモアを一さじ入れた自己紹介で、笑いのセンスが合う相手と長続きしたカップルもいました。借りずに、自分の癖を一個だけ混ぜる。それで十分に差がつきます。
状況に正直な自己紹介ほど、結局強い
再婚と子育てを隠さなかった人の結果
43歳のタダシさんは再婚希望で、結婚歴と子どものこと、仕事への責任感を最初から書きました。短い自己紹介の相手とは会話が続かず消えていく一方、彼のプロフィールには同世代の女性から好感触が集まり、価値観の合う相手と婚約まで進んでいます。
33歳でシングルマザーのナルミさんも、子どもへの想いと穏やかな家庭を築きたい気持ちを正直に書いてから、理解のある男性とのデートが増えました。事情を伏せて会ってから明かすより、最初に書いて、その上で来てくれる人を待つ。遠回りに見えて、これが最短です。
仕上げの一手間。証明書と写真との統一感
文章が整ったら、仕上げを二つ。男性で年収1000万以上なら年収証明、独身証明を出せばプロフィールに証明済みのマークがつき、文章の信頼度ごと底上げされます。そしてサブ写真は上限の6枚、自己紹介に書いた趣味と内容を揃えること。旅行好きと書いたら旅先の一枚を入れる。文と写真が同じ人物を語っていると、プロフィール全体がひとつの物語になります。

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