木曜の夜、AIから届いた通知には、土曜14時、表参道のカフェ、とだけありました。相手とメッセージは一往復もしていません。プロフィールも当日まで見られない。バチェラーデートは、審査を通った会員同士をAIが勝手に引き合わせ、週1回のデートを組んでしまうアプリです。だからこそ気になるのが、出てくる男性のレベルでしょう。外れたら土曜が丸ごと無駄になるのだから当然です。
男性レベルが構造的に高くなる仕組み
二段階審査と、年収800万から2000万という会員層
このアプリは入り口で書類審査があります。年収、職業、年齢、写真の印象まで見られ、通らなければ登録すらできない。編集部確認時点の情報では、男性会員は年収800万から2000万の層が厚く、管理職、経営者、商社、コンサルといった職業が約6割を占めるとされています。年齢は20代後半から30代が中心。つまり、街では滅多にすれ違わない密度でハイスペックが集まる池です。ここまでは東カレデートなどの審査制アプリと似た話。
入会後も評価で削られ続けるから、質が保たれる
バチェラーデートの本当の独自性は二段階目にあります。デートのたびに、会員同士が相手を評価し合う仕組みがあるんです。遅刻する、横柄に振る舞う、写真と別人が来る。そういう男性は評価が下がり、やがて良い相手を紹介されなくなっていく。入り口の審査は一度きりでも、ここでは試験が毎週続く。会ってがっかりした経験が少ない、写真より本人の方が素敵だったという女性の声が目立つのは、この継続審査が効いているからだと、使ってみて腑に落ちました。
編集部員がAIに任せて会った、4人の採点記録
理屈はいい、実物はどうなのか。私の4週間です。
1人目と2人目、スペック表の通りで拍子抜けした
1人目は32歳の商社勤務。約束の5分前に着いた私より先に席にいて、立ち上がって迎えてくれました。ジャケットの肩がぴしっと決まっていて、会話は仕事から旅行まですいすい流れる。1時間のカフェデートが短く感じた、文句なしの90点。
2人目は35歳の経営者で、案内されたのは私なら自分では予約しない価格帯の店でした。最初の30分は夢のようだったのに、気づけば彼の事業の話だけが続いていく。私の相づちが空気に溶けていくのがわかって、胸の内側がざわっとしました。外側は満点、中身は55点。スペックと相性は別の科目だと、2週目で早くも思い知ります。
3人目で、レベルの定義が揺らいだ
3人目は36歳のコンサルタント。正直、写真の第一印象は地味でした。ところが会ってみると、こちらの仕事の悩みを深く聞き、的確で押しつけのない言葉を返してくる。話の深さが、明らかに今までの誰とも違う。
取材で出会った31歳のリツコさんが、外見より内面のレベルが大事だと実感して真剣交際に進んだ話をしてくれましたが、その意味が体でわかった夜でした。85点。派手さはないのに、帰り道で一番長く余韻が残ったのはこの人です。
4人目、気遣いという名の実力を見た
4人目は30歳の医療系。あいにくの雨の日で、店を出た瞬間、彼は自分の傘を私の側へ深く傾け、帰りのタクシーまで先に手配していました。26歳の看護師ミサキさんが取材で語っていた、雨の日の傘の差し替えや細やかな配慮こそバチェラー級、という言葉そのままの振る舞い。本人は当たり前の顔をしているのが、また効く。88点。1ヶ月の平均点は79.5点。少なくとも私の4週間に、外れと呼びたい男性はいませんでした。
取材で聞いた、当たりと外れの本音
ただ、私の運が良かっただけかもしれない。利用経験のある女性と、ハイスペ側の男性にも話を聞きました。名前と年齢は変えています。
華やかさの裏にある、ハイスペ特有の落とし穴
32歳で再婚を考えるアヤノさんは、年収800万超えの男性と会い、初回から海外旅行の話で盛り上がったものの、回を重ねるうちに金銭感覚のずれが露わになって別れを選びました。華やかさと、生活を共有できるかは別問題。
25歳の新社会人ホノカさんは、高級ホテルのディナーに連れて行かれて心拍数が上がりっぱなしの夜を過ごした後、メッセージの頻度がすうっと減ってフェードアウトされています。30歳のエマさんの観察はもっと辛辣でした。スペックの高い男性ほど選択肢が多く、深いコミットを避けがちで、決断力に欠ける人もいる、と。レベルの高い池には、レベルの高い池ならではの罠がある。これは登録前に知っておくべき影の部分です。
レベルが高い側の男性にも、言い分がある
逆側の声も拾えました。周囲からバチェラー級と呼ばれる30歳の男性は、レベルが高すぎてプレッシャーだと女性に引かれ、関係が続かない悩みを抱えていました。
34歳の管理職は、複数の女性と並行していた時期に、他にもいるんでしょと見抜かれて反省し、一人に絞ってから今の妻と出会えたと言います。レベルが高いほど誠実さが試される、という彼の言葉は、評価が続くこのアプリの構造そのものでした。完璧に見える側も、内側では試されている。
高レベルの男性に届く確率を上げる方法
では、利用する側はどう動けばいいか。仕組みを逆手に取る方法があります。
自分のレートを育てる、という発想に切り替える
このアプリのAIは、評価の高い会員同士を優先して引き合わせる傾向があります。つまり、レベルの高い男性に会いたければ、自分がデート相手から高く評価され続けることが最短距離。時間を守る、感じよく話す、ドタキャンしない。地味ですが、毎回の振る舞いがそのまま次に紹介される相手の質に跳ね返ります。受け身で当たりを祈るゲームではなく、自分のレートを育てる育成ゲームだと捉えた人から、景色が良くなっていく。
条件設定と写真と、誠実な評価
実務的には三つ。希望条件の重要度設定で、譲れない項目をはっきり上げておくこと。写真は審査と紹介の両方に効くので、自分史上いちばん良い一枚に差し替えること。そしてデート後の評価シートを、面倒がらずに正直につけること。評価はAIの学習材料で、雑につけると次の紹介もぼやけます。私自身、3人目の評価を丁寧に書いた翌週、似た系統の深い会話ができる人が来ました。偶然かもしれませんが、手応えはありました。
レベルの正体は年収ではなく、持続力だった
4回の採点と取材を終えて、男性レベルという言葉の中身が私の中で書き換わりました。年収と職業の水準は、確かに高い。審査と継続評価がある以上、構造的にそうなります。ただ、点数を分けたのはそこではありませんでした。
2人目の経営者は最高のスペックで55点、3人目の地味な彼は85点。差を生んだのは、相手の話を聞く体力と、関係を続ける持続力です。バチェラーデートの男性レベルは高いか。答えは、入り口の水準は高い、その先の当たり外れはあなたの目と、あなた自身のレートが決める、です。土曜の1時間を賭ける価値は、私の成績表が示す通り、十分にありました。

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